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「また断れなかった」他人と境界線を作れない本当の理由


モモカ

「はぁぁ。どうしよう。行かないとだよね。でも、いやだなぁ。」

クマ先生

「どうしたの?手紙を持ってウロウロして。」

モモカ

「実はね、昨日歩いていたら偶然お友達と再会したの。それで、パーティに誘ってくれて。これが招待状。」

クマ先生

「それは楽しそうじゃないか!なぜ迷っているの?」

モモカ

「いい子なのよ、その友達。でも、正直あまり好きなタイプじゃなくて。だけど、私の悪いクセ。どうしてもって言われると断れないの。」

クマ先生

「それで、参加するって言ったことを後悔しているのか。君は、境界線が作れず心に他人をどんどん侵入させているね。」

モモカ

「わかっているけど、断ったら可哀想じゃない。」

クマ先生

「境界線を作ることが苦手な人は、大抵そう言うね。それが本当に優しさなのか?ということも含めて、お話ししよう。」

目次

〔1〕境界線(バウンダリー)とは何か

〔2〕目に見えないものは意識するのが難しい

〔3〕境界線を作ると、ひとりぼっちになりそうで怖い

〔4〕8種類の境界線で自分をハッキリさせよう

クマ先生からのメッセージ

〔1〕境界線(バウンダリー)とは何か


境界線はバウンダリーとも言われ、他人と自分を区別するものだ。「どこからが自分で、どこからが他人なのか?」を明確にし、人間関係を円滑にすることができる。

境界線をしっかり作ることは、自分らしく生きる手助けになる。

しかし、繊細で敏感な気質を持つ人(HSP)は、この境界線が薄く他人の感情に影響されやすい。そして、境界線を作ることに抵抗を感じる。

頭では、

「すぐに疲れたり、人が好きなのに人間関係が続かないのは、境界線が曖昧なことに問題がある。」

と理解している。それでも、いざ境界線を作ろうとすると、

「人と自分の間に壁を作って孤立することが本当に自分のためになるの?」

「自分勝手に拒絶されることが、どんなに辛いか。私がよく知ってる。同じことをやれっていうの?」

こんな葛藤が生まれて、結局は自分と他人の違いを曖昧にしたまま、心身ともに疲弊する人生を送ることになる。

本当は帰ってゆっくりしたいのに、無理やり笑顔を作って仕事を手伝ってしまう。

「誰かの怒りを買うくらいなら、平和が一番だよね。」

と、自分をごまかす。

しかし、これらは全て境界線についての誤った認識が原因だ。

正しい境界線とは何か、どんな機能をもつのかを知れば、スムーズに境界線を作ることができる。それは、自分の限界を知り、相手の境界線も尊重した人間関係の構築へとつながる。

では、詳しく見ていこう。

〔2〕目に見えないものは意識するのが難しい


心理的な境界線の話をする前に「境界線」という言葉について、もう少しハッキリさせておこう。

そもそも境界線とは、土地のさかいめや、物事のさかいめのことだ。

土地のさかいめは目に見えるから、わかりやすいよね。どこまでが自分のもので、どこからが他人のものか区別しやすい。

国境や県境もそうだし、個人的に所有している土地もだ。

例えば、ゴミが散乱して異臭を放っている土地がある。

君は、誰が管理するものか役所に調べに行く。どこからどこまでが、誰の責任で管理する土地なのか、ハッキリわかるから。

役所は、土地の管理者に連絡して対処するように伝える。

あるいは、君が家を建てるとき。

他人の土地に勝手に侵入して勝手に建築することはできない。だから、家を建てるときは、自分の土地を明確にする。

そして、門や塀を作り「ここからは私の場所だよ」と、他人に知らせる必要がある。

境界線があることで、所有者や管理者を明確にできるんだ。

では、繊細で敏感な人(HSP)が作ることを苦手とする境界線とは何だろう?

それは【個人の境界線】と言われる。

境界線を作ることが苦手な人は、自分と他人の間に線を引くことができない。

精神的・感情的な境界線は目に見えない。だから、どこまでが自分の管理するものか、わからなくなる。この状態は、他人の人生を生きることと一緒だ。

個人の境界線を作ることは、自分がどこから始まり、どこからが自分ではないのか、その範囲を明確にすることだ。

そして、自分の土地を自分で管理することで人生の主人公となる。

〔3〕境界線を作ると、ひとりぼっちになりそうで怖い


臨床心理学者のヘンリー・クラウドと、ジョン・タウンゼントは、

「個人の境界線を作ることに抵抗がある場合、そこには”恐れ”が存在する。」

と言っている。 (著書:境界線 聖書が語る人間関係の大原則)

境界線を作るときの恐れとは、以下のようなものがある。

  • 感じの良い自分を失う恐れ
  • 有能な社員というイメージを失う恐れ
  • 親しい友人を失う恐れ
  • 孤立して1人になる恐れ
  • 「はい」と言うことで得た平和な生活を失う恐れ

これらの恐れを抱くことは、当然の反応である。問題なのは、恐れの感情を消すために違和感を抱きながらも「はい」と答えてしまうことだ。

では、恐れからくる優しさや愛情は、本当に相手のためになるだろうか?

そもそも、それらは優しさや愛情と呼べるのだろうか?

境界線とは壁ではない。本来の境界線の役割は、悪いものを出し良いものを入れることだ。開閉できる門がついた柵のようなもの。

君は「いいえ」と拒否する権利も「はい」と受け入れる権利も、両方持っている。選択肢は、常に自分の中にあるんだよ。

〔4〕8種類の境界線で自分をハッキリさせよう


目に見えない境界線は、自分と他人が管理するべきものを曖昧にする。だからこそ、しっかりと柵を作る必要があるんだ。

他人の庭をせっせとお世話している間に、自分の庭が枯れてしまっている人がたくさんいる。逆に、柵がないために侵入者に好き放題させてしまう人もいる。

このような事態にならないように、様々な境界線の作り方を試してみよう。

先ほども登場した臨床心理学者のヘンリー・クラウドとジョン・タウンゼントは、著書で8種類の境界線を紹介している。それを参考に1つずつ説明するね。

①皮膚

皮膚は誰もが持つ、基本的な境界線。細菌が体内に侵入するのを防ぎ、不要なものは排泄する。

口から食べ物(良いもの)を入れ、老廃物(悪いもの)は外に出す。

身体的虐待や性的虐待を受けた場合、境界線の意識は脆弱になる。”自分の体を自分のもと思えない”感覚が身についてしまう。

②言葉

目に見えない境界線を引くとき、言葉を使う。基本は「はい」と「いいえ」だ。

言葉を使って意思を伝えると、相手は君のルールを知る。何を大事にしていて、何を持っている人なのかがわかる。

言葉で意思を伝えないことは、ルールを曖昧にしたまま付き合うということだ。

③真理

風が吹く。太陽が昇れば、月が沈む。こういった現象は、人間にはどうしようもできない自然の摂理だ。

物事の真理を知ることは、自分が管理するもの、責任を負うものを明確にする。

④物理的な距離

相手と物理的な距離を取ることで、境界線を引くことができる。

  • 飲み会には参加しない
  • 実家に帰らない
  • 連絡を取らない

こうした行動は、君との交わりを失った相手にも新たな変化を与える。

⑤時間

どうしても自分の手に負えなくなった問題は、時間を取って離れる。人や仕事も、時間をかけて少しずつ境界線を築き、新しい関係性を作る。

⑥感情的な距離

感情的な距離を置くことは、心を避難させる一時的な境界線だ。長期的もしくは極度なストレスを抱えている場合、心を休ませることが必要。

しかし、共依存にあると相手が本当に改心したか確認せず、再び境界線を越えてしまう危険がある。

⑦他の人々

第三者から援助が境界線を作る助けになる。その理由は2つある。

1つは、孤独感から救われること。相手の要求を断れば、拒絶され1人になる恐れがある。しかし、第三者の存在があれば1人ではないと知ることができる。

2つめは、新しい情報と教えを得ることができる。家庭や子供のころの教えは、心を束縛する。そこで、第三者から新しい情報を得ることで、罪悪感に立ち向かうことができる。

⑧結果

他人の境界線に侵入することは【立ち入り禁止】の札を無視していること。それはルール違反である。例えば、

「今度あなたが朝帰りしたら、私は家を出るからね」

と、君がどんな行動を取るかあらかじめ明確に伝えよう。

境界線といっても、たくさんの種類がある。1つずつ試して、自分が管理できる範囲を明確にしていこう。

クマ先生からメッセージ


最後に今日のお話をまとめよう。

  1. 境界線は「どこからどこまでが自分」で「どこからが自分ではないのか」を区別するもの。
  2. 土地などの目に見える境界線は、誰が管理するか明確になっている。個人の境界線は、目に見えないから、どこまで管理すればいいかわかりにくい。
  3. 境界線を作ることに抵抗があるのは、恐れの感情。恐れからくる愛情や優しさが、本当に相手のためになるのか考えてみよう。
  4. 境界線には様々な種類がある。1つずつ試して境界線の種類を増やそう。

境界線を作ると「自分のもの」と「他人のもの」を区別することができる。自分の行動の責任は自分でとるように、相手の行動の責任は相手にある。

君が恐れから優しさを与えることで、実は相手の責任を取るチャンスを奪っているかもしれない。

もしくは、相手の侵入を許してしまうことで、君が責任を取るチャンスを逃しているかもしれない。

それは、自分の人生を生きることを阻害することになる。境界線は、自分の意思で開閉できることを忘れないでね。

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